医療用語集 tttake’s diary

医療用語研究(勉強)  略語・隠語・ドイツ語・英語・カタカナ語などを紹介・おすそ分け。

「イトラコナゾール錠への違薬混入」事件の話 ② 睡眠薬って危ないの?

間違って混入したのは、リルマザホン塩酸塩水和物 ベンゾジアゼピン系睡眠剤   販売名 リスミー  なんだけど、死亡例が報告されたことで、ひょっとしてリルマザホンは危ない薬だと思ってない? そんなことは無いので、データーをあげて書きます。

それにしても、リスミーの後発品・リルマザホン製剤は小林化工しか作って無いと言う皮肉な状態 まあ先発に戻すか、他剤で代替は可能だと思われるけどね。

リルマザホン塩酸塩水和物の

急性毒性試験 (LD50,mg/kg) ラット&マウスへの経口投与で890~1020mg/Kg
50Kgのヒトに換算してみると  890×50~1020×50mg=44500~51000mg
今回の不正に混入して出来たのはリルマザホン5mg錠、これなら、10000錠飲んで半分のヒトが死亡すると言う計算になってしまう(勿論、動物=ヒトでは無いんだけど)

イヌ(体重不明だけど、50~100kgの実験用の犬は研究所で見たことない)の場合でも,500mg/kg×2 回 4 時間間隔経口投与で死亡例は発生してない。      500mg×50kg=25000mg 50kgのヒトなら25000mgでも死なない計算となる 
普通これなら、100錠(不正なリルマザホン5mg錠100錠で計500mg くらいをヒトが一気に飲んでも、まず死なないはず


LD50=Median Lethal Dose  50%致死率 実験動物に投与して、その50%が死亡する薬の量  薬の安全性の指標・目安として使う 
今回の考えられる誤飲の最大量はリルマザホンとして40mg/1日量  いくら70歳台の女性入院患者とは言え、この量で死亡するとは普通は考えられない。余程の基礎疾患が有ったのかなあ、残念です。(この70歳台の女性ケースなら、メーカーからの慰謝料は僅か1500~2000万円程度の判例だしね、命は結構軽い) 現在、市場にある睡眠薬(処方薬)は、1ヶ月分を一気飲みしても自殺できないぐらい安全なものしか残っていない。テレビドラマでも睡眠薬一気飲みでの自殺の話があったのは30年以上前の話。   睡眠薬の錠剤を多量に摂取しても、尿失禁等で苦しみはするんだろうけど、まず「死ねない」と言うのが薬関係者の常識。 結論、現在の他の「睡眠薬(処方薬)」も他の薬効の薬に比較しても、かなり安全です。OTC(市販薬)ならもっと安全だけどね。

Benzodiazepine ベンゾジアゼピン系薬剤  抗うつ剤睡眠薬・抗てんかん薬などに使われる。 抗不安作用、催眠作用、筋弛緩作用、抗痙攣作用をもつ薬剤群

依存症や離脱症候群は問題になるけど、急性毒性では安全な薬と言える        結論  ベンゾジアゼピン系薬剤(の処方箋薬)の1か月分一気飲みでは死ねない!